分散型デジタル通貨で「政府の通貨発行機能が民間にシフトする可能性」~シニョリッジを簡単に解説!~

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

本日は、分散型デジタル通貨で「政府の通貨発行機能が民間にシフトする可能性」がある、と米財務省のジャスティン・ミューズニッチ副長官が指摘した、という話題を取り上げながら、シニョリッジ(通貨発行益)について、解説してみたいと思います。

※シニョリッジは、シニョレッジとも表記されることもありますが、今回は“シニョリッジ”で統一させていただきます。

米財務省のジャスティン・ミューズニッチ副長官の発言

11月21日にニューヨークで開かれた「BPI2019」で講演したミューズニッチ副長官は、下記のように語りました。

分散型の民間発行デジタル通貨は単なる支払い手段ではありませんが、その構造によっては、政府が伝統的に実行していた機能の一部を民間部門にシフトできます。大規模なデジタル通貨は、マネーロンダリング、金融政策、その他のトピックに関する具体的な質問だけでなく、自治に関する非常に抽象的な質問も提起します。したがって、デジタル通貨市場に携わる人々は、公共の利益を追求する際に、政策立案者がこれらの問題に非常に厳しい目を向けることを期待すべきです。

引用元:米国財務省プレスリリース
Muzinich TCH副書記長+ BPI 2019年次会議による基調講演(2019/11/21)

講演の中で語った、“政府が伝統的に実行していた機能”とは、通貨発行機能を指しているものだと思われます。

この「通貨発行機能」を持つことは、どういったことなのでしょうか。

次項から説明していきます。

通貨発行機能を持つ意味

通貨発行機能を持つことによる最大のメリットは、シニョリッジ(通貨発行益)を得ることができる、ということだと思います。

下記に、シニョリッジ(通貨発行益)について説明します。

シニョリッジ(通貨発行益)

シニョリッジとは、政府・中央銀行が発行する通貨・紙幣から、その製造コストを控除した分の発行利益のことです。

通貨と紙幣で仕組みが違うので、下記に例を挙げて説明します。

通貨(貨幣)の場合

金本位制の頃は、本来であれば貨幣の額面価値(金額)と、金の実質価値(金額)が等しいはずですが、貨幣の金の含有量を減らせばその分、シニョリッジ(通貨発行益)が得られます。

具体例は、1986年に天皇陛下御在位60年記念硬貨。

売価は10万円ですが、金貨1枚あたり金を20g使用しています。

当時の金の価値が、1,900円/gです。

原価は、38,000円。

単純計算ですが、
10万円-3万8千円=6万2千円

要するに、10万円金貨1枚で、62,000円儲かる!

という仕組みです。

紙幣(日銀券)の場合

紙幣の場合は、簡単にはいきません。

1万円の原価は20円なので、額面との差額、9,980円が儲け!、ではありません。

中央銀行が紙幣を発行することによって得られるシニョリッジは、銀行券発行の対価として買い入れた手形や国債から得られる“利息”になります。

銀行券は銀行にとって一種の約束手形であり、バランスシート上も負債勘定に計上されるものであるところから、このような違いが生じます。

 

少し難しいかもしれませんが、通貨発行機能を持つということは、いずれにしろ利益を得ることができる、ということです。

この権利は、政府・中央銀行が独占していたのですが、

分散型の民間発行デジタル通貨は、この機能を民間にシフトする可能性があるということです。

次項に、リブラを例にとって解説します。

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リブラの場合

リブラの場合ですが、リブラを発行しても、原価との差額もありませんし、利子も、発生しません。

それでは、シニョリッジは全く無しでしょうか?

違います!あるんです!

リブラは、その価値の裏付けとして、「通貨バスケット制」という方式を採用しており、「Libra協会」が信託会社に委託し、銀行預金や短期国債など各種資産へ、分散投資する仕組みとなっています。

これらの資産から得られる利子は、リブラ協会の収益となり、リブラ協会のメンバーで、自由に使えます。

山分けするもよし、飲み食いするもよし、ということです。

リブラの発行量によっては、かなりの金額の利子が発生することが予想されます。

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まとめ

リブラを使うことによって、使われなくなった現金を発行していた中央銀行は、今まで得ていたシニョリッジ(通貨発行益)を、リブラに横取りされてしまいます。

だからリブラは、米国をはじめ、各国で猛反発をうけているのです。

今後の、各国政府の動きや、リブラ協会の動向にも注目して参ります!

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