皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
本日は、アメリカはカリフォルニア州のストックトンという街で行われている、ユニバーサルベーシックインカムの検証実験「SEED」、について取り上げてみたいと思います。
SEEDの概要など
SEED(シード)とは
- SEED(Stockton Economic Empowerment Demonstration)は、アメリカ初、市長主導の保証付き収入
- 2019年2月、無作為に選ばれた125人の住民に、18か月間、月額500ドルの保証収入を提供開始
- 500ドルの使い道は自由
- 受給者に経済的に力を与え、貧困が性格ではなく現金の不足に起因することを、政策支持者や懐疑論者に証明しようと努めるもの
要するに、貧困は個人の性格や人間性によるものでなく、“どうせベーシックインカムを支給しても、飲み食いやギャンブルに使ってしまって意味がない”、と主張する懐疑論者に対して、主張と異なることを実証実験を介して証明しようとするプロジェクトです。
被験者(受給者)
- 18歳以上
- 収入が46,033ドル以下
- カリフォルニア州、ストックトンに居住
支給額の原資
- 個人からの寄付100%
税金が全く使われていないのは、良いですね。
受給される方も、いくら実験とはいえ、いくばくかの後ろめたさを感じてしまい、使い道の自由度が制限されそうですからね。
支給方法
- デビットカードにて支給
結果報告
初年度のレポートは、2020年に発表され、最終的な調査結果は2021年に公開、とのこととなっています。
最終調査結果に先がけて、ストックトン市長のマイケル・ダブス氏はAP通信の取材の応じました。
現状の報告を下記にまとめます。
- 受け取った金額の約40%を食料品購入に費やした
- 約24%が、ウォルマートに代表される、ディスカウントストアで日用品を購入
- 公共料金に支払いに約11%使用
- 自動車の修理と燃料に約9%使用
- 残りのお金は、医療費、保険、交通費、教育費、寄付、などに使用
被験者(受給者)の声として、
- 残業を減らすことができ、家族や友人と過ごす時間を増やすことができた
- 生活の心配をすることなく、娘の誕生日プレゼントに、靴を購入することができた
- 歯の治療ができ、人前で笑えるようになった
など、喜びの声が聞かれています。
上記のデータから鑑みると、無駄使いというよりも、生活必需品の購入に充て、子どもにプレゼントを買い与えたりと、家族や友人と過ごす時間が増え、落ち着いた生活が送る手助けにはなっていそうです。
ただし、
今回の実験方法では、正確なデータが取れていないことが発覚しています。
次項で解説します。
支給方法に問題あり
既に説明した通り、支給方法はデビットカードでの支給です。
デビットカードで支給することにより、被験者が何に使ったか追跡できる“予定”だったようなのですが、
実際は、
支給額の約40%は、現金として引き出され、使途を知ることが難しくなっているとのこと。
個別での聞き取りで、その使途を調査していくようです。
なんだかな~。
それじゃ、毎月200ドルをギャンブルにつぎ込んでいても、わかりません、ってことですね。
何に使っても本人の自由だから、良いのですが、これじゃ、研究としての意味が薄れてしまいますね。
ちなみに、SEEDのHPを、重箱の隅をつつくレベルで調べてみると、
「これまでのところ、追跡された合計金額の1%未満がアルコールおよびタバコの小売店で消費されています。」と記載がありましたが、
これもあくまで、“追跡された”金額限定です。
まとめ
既報(寄付は、“現金”と“物資”どちらが効果的? ~寄付を受ける側の“顔”が見えるプラットフォームも紹介~)でお伝えした、Give Directlyも、同じようなコンセプトの実証実験です。
こちらの調査も同様に、ベーシックインカムを肯定的にとらえる結果が報告されています。
いずれにせよ、このような実証実験は今後も繰り返し行われていくことが予想されますので、個人名などの情報は公開しなくてよいですが、ベーシックインカムコイン(仮称)的なものを発行して、使途までブロックチェーン上で公開できるようにしたら、いかがでしょう?
そうすれば、実験の結果もより確かとなり、ベーシックインカム懐疑論者に対しても、よいアピールになるのではないでしょうか。
マイケル・ダブス市長は、アメリカでは最年少の市長みたいなので、応援したくなりましたので、引き続きこの実験には注目して参ります。
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投稿者プロフィール
- JCCA 編集部は、協会主催の様々なイベントや講座、暗号通貨システムやブロックチェーン技術に関する時事ニュースなどを含め、例え話を用い初心者の方にもわかりやすく解説してまいります。/暗号通貨の『普及活動』、それが子供達の笑顔を創造する。
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