NFT_お金の価値とは

NFTから考えてみる「なぜ、お金には価値があるのか」という事

目次

NFTマーケットプレイスの飛躍

NFT関連の記事やブログが毎日の様に見受けられる様になりました。

 

NFTマーケットプレイスの老舗であるOpenSea(オープンシー)は、2021年8月の月間取引高が約3890億円にのぼり、1年前の約1億1400万円から急激に成長しています。同プラットフォームには約2200万点のアイテムが出品され、今後も出品数は増大されると考えます。

 

NFTとはノン・ファンジブル・トークン(Non-Fungible Tokens)の略であり、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。先のオープンシーには現在、約2200点の作品がありますが、そのすべてが世界に1つしかない作品だという事を証明できるのがNFTの魅力の一つです。

 

そして、その作品が世界に一つだけの価値であることを証明するために使用されているのが、イーサリアムブロックチェーンです。イーサリアムには規格の名称があり、それを表すのが「ERC規格(Ethereum Request for Comments)」です。

NFTとイーサリアムの規格

イーサリアム(Etherume)とは、通貨の名称ではなくプロジェクトの名称です。NFTを理解する為には、インターネットやビットコイン同様に、イーサリアムも「システムの名称である」と捉える必要があります。

ERC20規格

イーサリアムには汎用性があり、ERC20の規格が誕生するまでは、イーサリアムプラットフォームを活用したトークンが各自バラバラであったため、取引所やウォレットでの取り扱いには纏まりがありませんでした。

 

そこで、より多くの人々に使いやすさを提供するため、規格を統一し汎用性を持たせることにしたのがERC20でした。有名なところでは、ウォレットではメタマスク、取引所ではユニスワップなど、全てERC20で運用されています。

ERC721規格

今回題材としたNFTを発行する上では最も活用されている規格です。

 

この様に統一規格が出る事で、オープンシーはじめ、様々なプラットフォームが誕生し、私たちの作品がより多くの人々の目に触れる事となりました。

 

ビットコインなどは、1BTCを送金して受け取ったという、過去のデータが全てビットコインシステムのブロックチェーンへ記録されています。イーサリアムも同様です。1ETH送金して受け取ったというデータが記録されています。

NFTのデータの種類

NFTのデータには大きく2つ存在します。

個人の投稿データ

その作品の制作者・所有者・権利者は誰か、いつ何時何分何秒に取引されたのかというタイムスタンプと言われるデータなどが記録されています。

作品の投稿データ

その作品自体の画像データです。みなさんご存知のJPEGやPNGという拡張子が付いたデータです。

 

こちの画像データは、イーサリアムブロックチェーンには記録されておらず、画像データに関する識別データのみがブロックチェーンに記録され、各マーケットのサーバーに保存されています。

NFTとデータの関係性

例えば、皆さんが撮影した富士山の写真があるとします。その写真には識別子「A」が記録されています。イーサリアムブロックチェーンには皆さんが富士山の写真の所有者であることが、識別子「A」として記録されています。

 

そして、オープンマーケットのサーバーには、富士山の画像データが保存されており「A」が識別子として記録されています。つまり、サーバーがダウンした場合、画像データがマーケットプレイスや他のマーケットプレイスに表示されることはありません。 実はここに、NFTが「半中央集権である」という不安要素があります。

 

しかし、この事を考えてしまうと、NFTの取引は不可能になってしまいますので、今回は割愛いたします。大切なのは、物事の本質を理解しておくという事が大事です。

 

さて、話を戻します。

 

あなたの富士山の画像をブログなどに掲載すると、いつでも画像データのコピーを第三者のハードディスクに保存することが可能です。もし、コピーやダウンロードができない状態でアップロードしたとしても、スクリーンショットを撮られれば、同様のデータが保存されます。

 

もちろん、その画像の識別子を見れば、オリジナルなのかコピーなのかの違いは分かりますが、今まではその識別子すらも、書き換え可能でした。

 

ビットコインが誕生しブロックチェーン技術が登場するまでは、デジタルデータそのものに何億円と言う価値が付く事はありませんでした。 freepik などのサービスであれば、有料会員にしかダウンロードできない写真があり、その写真がダウンロードされれば、写真の所有者には課金が発生しています。

 

しかしながら、何億円と言うか額にはなりません。 何故なら、先にもお伝えしたように、デジタルデータは幾らでもコピー可能であり、「1点物の価値」という実物の絵画と同等の価値が生み出されることが無いからです。

 

そこで登場したのが、ERC721規格で運用されているNFTでした。NFTは、デジタルデータの世界に「1点物の価値」を生み出すことに成功しました。そして、それを可能にしたのが、ブロックチェーン技術であり暗号通貨システムの思想です。

何故、NFTには価値があるのか

答えはシンプルです。

 

それは「みんなが価値があると思うから価値がある」という答えです。これ、冗談ではなく本当の事です。

 

しかし、暗号通貨やNFTの価値は、今までの金銭的な価値と比べると、大きく違う要素があります。 それが、「中央集権」なのか「非中央集権」なのかの違いです。

 

例えば、「お金」を考えてみましょう。ここで言うお金とは「法定通貨」のことです。 法定通貨とは国が認めた通貨だという事。日本では、日本政府が認めたお金を指します。「日銀券」と呼ばれる1万円札や500円などの硬貨です。

 

政府が2019年に、2024年の上半期を目途に新札を流通させ始めるとの発表がありました。その事については別でよく読まれているコラムを公開していますので、下記をお読みください。 

お金に価値があるという根拠

では、皆さんに質問です。1万円札とは何でしょう、、、 そうです、お分かりのとおり、「紙」です。

 

紙と言えば、皆さんの周りにもたくさんあると思います。燃やせば灰になる、あの紙です。 私たちは、何故ゆえに紙である1万円札が、お寿司屋さんのコースと交換できるのでしょうか。

 

答えは、私たちが1万円札にはそれだけの価値があると思っているからです。では、私たちが1万円札にはそれだけの価値があると思い込んでいる根拠は、どこにあるのでしょうか。

 

そこには大きく2つの根拠があります。

価値があると思うから価値がある

1つは、先にもお伝えした「みんなが価値があると思うから価値がある」ということ、そしてもう1つは「中央集権である日本政府が、1万円札には1万円分の価値がある」と公言しているからです。

 

物々交換で生活が成り立っていた私たちの祖先の生活に、便利である「お金」という概念が加わることにより、生活は便利で豊かになっていきました。 しかしながら、そこに地域を統治する者が現れ、お金と言う概念を中央集権で支配するようになっていこう、貧富の差が生まれ始めました。

 

おっと、この事について書きだすと、とんでもない文字数になりそうなので、このあたりにしておきます。 話は戻ります。 1万円札に価値があるかという内容をお伝えしましたが、NFTとして流通している作品に価値があるという根拠は、どこにあるのでしょうか。

政府が認めているから価値がある

1つは、法定通貨と同様の理由です。中央集権である政府が「この1万円札には1万円分の価値がある」と言っているので、私たちも価値があると思っています。

 

しなしながら、多くの方が見落としがちなのは、政府の発言があるからこそ、「みんなが価値があると思うから価値がある」という価値観は、政府がそう言えない状況になれば、法定通貨の価値もそれに連動してしまうという事です。

 

よって、NFTに対し「みんなが価値があると思うから価値がある」という捉え方は、政府を信頼するという根本的な意識が無い為、同じ言葉であっても真逆の状態にあると言えます。

 

では、NFTに価値があると言えるもう一つの根拠とは何でしょうか。それは暗号通貨システムとして構成されている「プロトコル」に信頼があるからです。

暗号通貨の価値を決める「プロトコル」とは

プロトコルとは聞きなれない言葉かもしれませんが、インターネットを始めとした様々なシステムには、このプロトコルという言葉が非常に重要です。 IoT用語辞典では、プロトコルをこの様に説明しています。

 

「プロトコルとは、コンピュータでデータをやりとりするために定められた手順や規約、信号の電気的規則、通信における送受信の手順などを定めた規格」を意味します。

 

異なるメーカーのソフトウエアやハードウエア同士でも、共通のプロトコルに従うことによって、正しい通信が可能になります。 目的別にさまざまなプロトコルがあり、身近なものとして、インターネット接続に用いるTCP/IPや、Web閲覧などに用いるHTTP、メール送受信に用いるPOPやSMTPなどが挙げられます。いずれも末尾の「P」はProtocol(プロトコル)の略です。

 

いかがでしょうか。 私も最初、暗号通貨に出逢うまではプロトコルという言葉を意識したことが無かったため、この様な説明を聞いても理解が及びませんでした。 しかしながら、講義を進めていくうちに、どうすれば専門用語を一般的な言葉で分かりやすく伝えられるのかという事を考える様になり、プロトコルという言葉の理解にたどり着きました。

 

もし、「NFTの話からそれていませんか?」と思われている方は、もう少し読み進めてください。ここをしっかりと理解できると、なぜNFTに価値があるのかという理解が深まります。 プロトコルとは、「ルール集」だという事です。

プロトコルとは「ルール集」である

暗号通貨システムを動かす為のルール集とは、簡単に改ざんが出来ません。ビットコインも同様であり、難解な暗号化技術が組み込まれているため、量子コンピュータであっても改ざんは不可能だと言われています。

 

この「改ざんが出来ない」と言う事は、言い換えれば「ルールが間違いなく守られている為に、価値がある」ということに繋がります。 では、これを身近にたとえてみましょう。

 

例えば、皆さんが務めている企業や団体、学校にはルールがあるでしょう。そのルールが守られてこそ、関係者は安心して仕事が出来ますし、学校に通い学びを深められます。生活が成り立っているという事です。

 

スポーツも同じです。ルールがあるからこそ、プレーヤーも活躍できますし、観客も楽しめます。サッカーの試合中、突然選手がボールを持ってフィールドを走り、ゴールまで行ってキーパーに体当たりしてネットを揺らしたら、これはもう試合が成り立居ませんし、サッカーというスポーツの魅力は無くなります。

 

家庭においても同様です。妻や夫の浮気はルール違反です。ルールを違反すれば、その過程は成り立ちません。 この様に、プロトコルとはルール集であり、そのルール集が守られているからこそ、そのもには価値があると言えます。

まとめ

NFTも同様に、ブロックチェーンを始めとした様々な技術を組み合わせたルール集があるからこそ、世界で一つだけの作品であるという事が証明され、その事がNFTの価値そのものとなります。

 

今回は、なぜNFTに価値があるのかという点につて、分かりやすさをメインにお話を進めてきました。

 

エンジニアの方からすると、表現として間違っているという指摘を受ける言葉があるかもしれませんが、分かりやすさに重点を置いた内容であることを考慮いただけると幸いです。

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山下健一代表理事
暗号通貨の思想とブロックチェーンの概念は、金融システムをより安全に低コストで運用できるだけでなく、銀行口座を持たない20億人の生活環境を底上げします。また、寄附や募金へ広く活用されることは、SDGsの達成にも貢献する事でしょう。一人でも多くの方と共に、正しい暗号通貨システムの可能性を学び、実生活や仕事にも取り入れて頂けるよう、当協会はこれからも「暗号通貨技能検定講座」の開催を重ねて参ります。

【資格・受賞歴】
・日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー
・東久邇宮記念賞受賞
・東久邇宮文化褒賞受賞
・特許:特開2016-081134号
・特願:2018-028585