FIN/SUM2024

FIN/SUM2024|総括レポート

FIN/SUM2024が3月5日から3日間開催され、心躍らせ参加致してきました。

 

FIN/SUMは毎年開催されており、金融庁と日本経済新聞社が共催する日本最大級のFintechカンファレンスであり、国内外の関係事業者が一堂に会し、Fintech発展の為に活発な議論を行います。

 

今年の全体テーマは「”幸福”な成長をもたらす金融」でした。

この記事で学べる3つのこと

  • FIN/SUMとは何か?
  • FIN/SUMの注目セッション
  • FIN/SUMの今後…

もし、フィンテックやブロックチェーンに興味関心がある方であれば、この記事は、それらの本質を捉え実生活やビジネスにも落とし込める可能性があることに気づけるでしょう。

この記事をオススメする方

  • フィンテックに興味関心がある方
  • 暗号通貨システムの活用方法を知りたい方
  • ブロックチェーン技術に興味関心がある方
  • ブロックチェーンのメリットとデメリットを知りたい方
  • ブロックチェーンで何ができるのかを知りたい方
  • ブロックチェーンをビジネスや実生活に活かすヒントを得たい方

一つでも当てはまる方は、本記事をじっくりと読み進めて下さい。

 

本記事を読み終えた後には、「こういう発想が必要なのか!」「こんなことが可能だったとは!」と思わず笑みがこぼれる事でしょう。

あなたがもし、早々にブロックチェーン技術を使ってみたいと思われたら、暗号通貨(暗号資産・仮想通貨)取引所の口座を開設ください。

 

口座開設には、買い値と売値の幅(スプレッド)が1%未満と日本最安値の「OKコインジャパン」がおススメ。

 

今なら口座開設でもれなく1,000円分のビットコインが貰えるキャンペーン実施中(2024年4月1日現在)。

それでは、本文へとお進みください。

目次

はじめに

当協会にてブロックチェーンを学んでいるとは言え、金融分野は素人で不安はありましたが、思い切って参加しました。計4日間で延べ80以上の議論がなされました。

 

無知で消化しきれなかった内容は膨大にありますが、改革を起こそうと第一線で活躍されている方々を目の当たりにすることができ、非常に刺激的で貴重な体験となりました。

 

参加した中で特に印象深かったものを、1日1セッション、私なりの視点で、以下に紹介させて頂きます。

DAY1|金融・経済の発展に欠かせない「デジタル証拠」について

【登壇者】:東京大学院教授 加毛氏、NTTデータ 阿久沢氏
リーテックス代表取締役 小倉氏、西村あさひ法律事務所弁護士 有吉氏

 

【概要】:生成AIが普及する中で、「なりすまし」や「フェイクかどうかの見極め」が非常に重要になる時代です。そこで必要不可欠なのが、電子契約書や電子請求書が本物であるという「デジタル証拠」を法的に確立すること。

 

正にそれを実現したのが、リーテックス社の「ONEデジ」(ワンタイムデジタル署名)と呼ばれるサービス。ブロックチェーン技術を活用しており、3月4日にローンチされたばかりです。このセッションでは、このサービスの紹介とデジタル証拠の意義について議論されました。

 

【気になった内容】:コロナ禍の影響もあり、ここ最近は印鑑の使用が減り便利になったと感じていましたが、まず驚いたのが、現行の電子署名技術には40年前のものが使用されているということでした。

 

そしてその技術は実用化予定の量子コンピューターによって解読され、それ自体成立しないリスクが大であるとのこと。相手が人間かAIか分からなくなってしまう”なりすまし”の脅威から、人間を守る為にできたのが、ONEデジであり、なくてはならない極めて重要な仕組みであると、小倉社長の熱い語りからも認識できました。

 

ONEデジは、安全なクラウドに保存された署名情報を、ブロックチェーン技術による署名台帳で管理するため、改ざんされないとのこと。また、法的裏付けがないとビジネスでは使えませんが、2月末に電子署名法上適切であるというお墨付きを関係各省庁より入手したとのことでした。現時点で他にない革新的な仕組みがONEデジです。

 

【感想】:AIと人間の共存社会で必要不可欠な「デジタル証拠」、その実現の為に根幹を担っている技術がブロックチェーンだと知り気持ちが高ぶり、ブロックチェーンの素晴らしさを一層痛感しました。

 

AIとブロックチェーンの相乗効果でより豊かで人間的な世界が訪れることを期待します。

DAY2|ホールセール決済の将来像 _第二部 ホールセール決済の現在の課題

トレードワルツ 染谷氏

【テーマ】:ホールセール決済の将来像 _第二部 ホールセール決済の現在の課題
【登壇者】:トレードワルツ 染谷氏、JPモルガン・チェース銀行 田貝氏、明治大学 小早川氏、SBIデジタルアセットフォールディングス フェルナンド・バスケス氏、三菱UFJ銀行 渡邉氏

 

【概要】:決済を取り巻く環境における技術革新は急ピッチで進んでいますが、ホールセール決済(大口決済)の枠組みは、未だに過去からの慣習を踏まえて成り立っているものが多いようです。

 

結果、その現行枠組みに対し、DLT(分散台帳技術)等の新しい技術の取り込みが今正に検討されており、適切な技術だけではなく新たなプラットフォームへのインセンティブや標準化も必要だと認識できました。

 

決済システム全体として、安全性と効率性をどう高めていくかという視点も大切。実務面での有識者を迎えて、課題と改善について具体的に議論がなされました。

 

【気になった内容】:このセッションでは、私自身が貿易実務経験者として、トレードワルツ染谷氏の貿易金融プラットフォームについて、非常に興味深く拝聴しました。

 

貿易は、商品が届いていても、未だに紙の全書類が揃わないと決済されない超アナログの仕組みが残っています。こうした書類のタイムラグ解決の為に、ブロックチェーン上で貿易書類を電子に換えて、データだけで取引を行うプラットフォームがトレードワルツ社によって開発されました。

 

2021年には商流と金流の情報を其々別に預けた2つのブロックチェーンを掛け合わせることで、分散型台帳上で即時にデジタル通貨で決済できることが実証されました。

 

これにより技術的には確証されたのですが、一般の貿易実務者にとって、銀行を介さずデジタル通貨で決済するということは、現段階では非常に抵抗があり、各企業において話が進まないことが課題とのことです。

 

一方、三菱UFJ銀行渡邉氏のお話では、銀行はトラストアンカーとしての役割を果たすべきで、現状銀行としては、暗号資産を提供できないが、「規制を技術に合わせるのではなく、現行の枠組み・規制に技術を合わせる」それが現実的とのこと。実際そのような動きが業界内で昨年より出てきているとのことです。

 

染谷氏も古くからある銀行の良さ(主に信用力)とブロックチェーンの良さを組み合わせれば、課題解決できるのではとのことでした。

 

【感想】:ブロックチェーン技術がどのように我々の一般業務に落とし込まれていくのか、課題は何なのか、貿易実務経験者として、かなり具体的に理解することができました。

 

そして、規制は変えるべきと考えていたので「既存の規制に技術を合わせる」という考えが私にとっては非常に新鮮でした。そういったより現実的な考えや取組によって、新しい技術が少しずつ実装されていくのだと実感しました。

DAY3|Web3.0金融 _電子署名、電子請求のチェーン化から生まれるフィンテック革新

フィンテック革新

【登壇者】:リーテックス代表取締役 小倉氏、衆議院議員 平氏、帝京大学 宿輪氏、イオン執行役 尾島氏、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー代表取締役 安原氏、 日本経済新聞社 関口氏

 

【概要】:電子署名や電子請求が急速に普及しつつある中、ブロックチェーン技術を使ったイノベーション(DAY1で記載した「ONEデジ」)が、主に中小企業の商取引にどのように活用されていくのか、議員、学者、小売業界、銀行らの視点より議論されました。

 

これは、世界の中でも日本が先進的に取り組んでいるスキームであり、Web3.0における有力なユースケースになる可能性もあるとの事で、期待が高まっています。

 

【気になった内容】:「ONEデジ」についてあらためて説明がありました。従来の電子署名技術では成しえなかった非常に革新的なサービスであることを再認識しました。

 

例えば、従来の技術ではPDFファイルで署名された名前しか証明されていませんが、ONEデジでは、PDFファイル以外の形式も可能であり、名前だけでなく契約内容(文)も一括して証明されます。

 

また、署名と紐付けされたQRコードによっていつでもどこでも閲覧可能(紙で出力も可)であり、契約内容を修正した場合も新たなQRコードが作成され、全修正履歴を確認することができます。また、ブロックチェーン技術により1件あたりの証明にかかるコストも大幅に削減できたとのことです。

 

その上で、このサービスは、別名「中小企業資金繰り改善テック」であると、全登壇者が絶賛していました。

 

例えば、中小企業が大企業と取引を始めると、大口の売掛債権が発生し資金繰りが悪くなる▶資金不足の為銀行からお金を借りようとすると▶フルで担保を使っているので融資してもらえない▶そこで契約からONEデジの電子署名を使うと▶Buyerが買ったということをしっかり証明できる。

 

つまり、「契約したことを確固たる担保にでき、資金を借りて次の商売が始められる」という好循環を生み出すことができるとのことでした。

 

また、日本の中小企業は技術力があっても、未だFAXで注文書をやり取りするといったように、IT武装率が非常に低いとのこと。それをかなり改善できるのではという期待もありました。

 

【感想】:「ブロックチェーンは社会に有用性があるのだろうか。誕生以来、15年間問われ続けてきましたが、このONEデジが一つの答え」という小倉社長の言葉が印象に残っています。

 

ブロックチェーンを使った一つのサービスが、こんなにも拡張性を持っており、様々な商取引で活用される可能性を秘めている ことに胸が熱くなりました。ONEデジをリリースしたリーテックス社の動向から目が離せません。注視していきたいと思います。

DAY4|FintechとWeb3.0の融合は起きるのか

【登壇者】:Ginco代表取締役 森川氏、メルペイ代表取締役 永沢氏、N.Avenue(CoinDesk JAPAN)代表取締役 神本氏

 

【概要】:FintechとWeb3.0それぞれの日本のリーディングカンパニーが、どのようにWeb3.0のサービスを広めていくかについて主に議論されました。

 

FintechとWeb3.0の融合は既に起きており、なくてはならないものとの話。メルカリで金融事業を担うメルペイはメルカリアプリ内で、2023年3月にはビットコインを購入できるように、2024年2月にはビットコイン決済をできるようにサービスを開始した。

 

また、Gincoはデジタルアセットを扱うウォレットやプラットフォーム、ソリューションを提供し、Web3.0に参入する企業を総合的にサポートしています。

 

【気になった内容】:メルカリがそもそもなぜビットコインのサービスを始めたのかが分かりました。

 

メルペイ永沢氏によりますと、メルカリの企業理念「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」に基づいての動きであり、ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)の領域は、新しい価値の創造・循環に繋がっていくと以前より目をつけていたとのことです。

 

急には広まらないので最初は体験してもらうことを目的に、既存のメリカリのサービスに段階をつけて、サービスを始めたとのこと。実際リリース後7カ月以内で100万口座開設という驚異的な実績をつくりました。

 

メリカリのように巨大なユーザーを持っている企業が、既存のサービスにのせてWeb3.0関連の事業を展開していく動きが、日本でもここのところ活発化してきています。


Gincoの森川社長は、メルカリの例のように今まで触れていなかった人にもアプローチして触れてもらえるようになれば、そこで一旦マスアダプション(広く一般の人々に受け入られること)するが、その先の真の「Web3.0の特徴=いろいろなサービスを横断して使える」国境に関係なくクロスボーダーで活用できるといった利便性がしっかりと行き届いたとき、更にもう一段上のマスアダプションになるのではとの発言でした。

 

また、ブロックチェーンに出会った際(10年以上前)は、既存の金融基盤とは別に、全く新しい基盤でブロックチェーンが発達していくと想定していたとのこと。今現在はどちらが覆い隠すということもなく、どうやって共存し、よりよいものを生み出していけるかというフェーズにいるのではと話されていました。

 

【感想】:メルペイのビットコインサービスは段階を踏み、ユーザーに少しずつデジタルアセットに慣れてもらおうとしているサービスであり、非常に計画的で着実なやり方であるということをあらためて認識しました。企業理念にも非常に共感しました。

 

Gincoの森川社長は、書籍も出されるほどWeb3.0の思想についても深い考えをお持ちの方で、更に詳しくお話をお聴きしたいと思いました。

まとめ

Fintechと言うと既存の枠組みを変えるイメージがありますが、FIN/SUM2024全体を通しては、まずは既存の枠組みの中で何ができるかやってみようという考え方が多かったように思います。

 

他業界と比べて、金融はAIやブロックチェーンとの相性がよく、比較的変革が進んでいると言われています。しかしそれでも、今は試行錯誤しながら懸命に取り組んでいる最中であり、それら技術を使った様々なサービスが toB, toC 共に一般に広まるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

 

また、非中央集権、P2P、平等、自律といったWeb3.0の思想とされるもの を会場で唱える人は、ほぼいませんでした(金融庁主催なので当然かもしれませんが…) 。

 

思想を掲げて取り組むのではなく、まずは実装され広まってから、気付いたらその世界になっていたというのが自然の流れなのだと今回感じました。

 

この激動の時代に立ち会えることにワクワクしながら、知見を深め、自らも何らかのかたちで、Fintech・ブロックチェーンの分野に携わっていきたいと思います。

筆者:蝦原 明子

アーカイブ視聴無料チケット 

アーカイブ視聴無料チケット
アーカイブ視聴は4月14日まで、アーカイブ期間中でもチケット登録できます。

登録視聴はこちら(アーカイブとしてすべてのセッションを約1カ月間、視聴できます)。

初級検定講座

暗号通貨技能検定とは

こんな想いの方々が受講されています

  • 暗号通貨やブロックチェーンについて、知識の有無にかかわらず興味関心がある。
  • 同一労働・同一賃金が施行された中、資格を得て他者との収入に違いを出したい。
  • 自社のビジネスにブロックチェーン技術がどの様に導入できるのかを知りたい。
  • SDGsの目標達成に対し、ブロックチェーン技術がどの様に関係していくのかを知りたい。
  • 暗号通貨の正しい知識をもち、どの暗号通貨に注目したらよいのか等の明確な判断力を付けたい。
  • 暗号通貨の始め方や取り扱いを覚えたいが、書店に並んでいる本やYoutubeを見ても理解が進まない。
  • 講師としての資格を取得し、より多くの方々へ暗号通貨の思想やブロックチェーン技術の概念を伝えたい。
初級検定講座

投稿者プロフィール

アバター
山下健一代表理事
暗号通貨の思想とブロックチェーンの概念は、金融システムをより安全に低コストで運用できるだけでなく、銀行口座を持たない20億人の生活環境を底上げします。また、寄附や募金へ広く活用されることは、SDGsの達成にも貢献する事でしょう。一人でも多くの方と共に、正しい暗号通貨システムの可能性を学び、実生活や仕事にも取り入れて頂けるよう、当協会はこれからも「暗号通貨技能検定講座」の開催を重ねて参ります。

【資格・受賞歴】
・日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー
・東久邇宮記念賞受賞
・東久邇宮文化褒賞受賞
・特許:特開2016-081134号
・特願:2018-028585

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA