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映画「えんとつ町のプペル」で登場した腐る通貨「 L 」は実在していた

皆さんは、映画『えんとつ町のプペル』をご存知でしょうか。

 

2020年のクリスマスに公開されたこの映画は、夢を追いかけて頑張っている人達へ向けて、強いメッセージを放ち、大変多くの人々へ感動を届けた作品として、一躍有名になりました。

 

私も映画を視聴した一人なのですが、暗号通貨アドバイザーとして、どうしても気になって仕方がない内容がありまして、今回コラムに取り上げさせていただく事にしました。

 

いつもの暗号通貨の発信とは違って、今回は「お金」がキーワードとなってきます。

えんとつ町のプペル

Table of Contents

映画『えんとつ町のプペル』

腐るお金「 L 」は実在していた

通貨『 L 』の特徴

まだご覧になっていない方もおられると思いますので、詳しいストーリーにつきましては伏せさせていただくのですが、一つだけ。

 

映画内に登場する通貨「 L 」について、お話しさせていただきます。

 

通貨「 L 」は時間が経過すると腐って壊れてしまう性質を持つため、時と共に価値が目減して行きます。貯蓄する事はできないという特徴を持つお金です。

 

何故この通貨が生まれたのか。

 

それは肉や魚、野菜などあらゆる物が時間の経過と共に価値を下げていく事に対し、お金だけが腐らない事を問題だと捉えたからだそうです。お金をたくさん持つ者が権力を保持してしまう事になるため、争いが起こるのであれば、お金も肉や魚と同様に、腐る性質を待たせればいいと考えられ、腐るお金「 L 」が誕生しました。

 

この話にはモデルが存在しており、その事は西野亮廣さんのブログ内でも記述されています。

実在していた地域限定貨幣『ヴェルグルの労働証明書』

1900年初頭、自由貨幣であり地方創成を可能にした通貨がありました。オーストリア・チロル地方のヴェルグルにて、地域限定貨幣として導入され、そこでは“腐るお金”が実際に使われていました。

参照:地域通貨の魅力とは?ヴェルグルの奇跡に学ぶその存在意義

当時、世界恐慌の影響が、この小さな田舎町のヴェルグルの町にも及んでおり、人口わずか4300人の内、500人が失業者、1000人の失業者予備軍がいたそうです。

 

人々は不安から通貨を使おうとしなかったので、経済は循環しませんでした。それを問題と捉えた当時の町長、ミヒャエル・ウンターグッゲンベルガーは、地域通貨を導入し、ヴェルグルの経済が循環するように、スタンプ貨幣()を発行しました。スタンプ貨幣とは「自由貨幣」という、価値が減る仕組みを持ったお金に該当します。

 

町は、道路整備などの緊急失業者対策事業を起こし、失業者に職を与え、その労働の対価として「労働証明書」というヴェルグル地域のみで利用できる地域貨幣を与え、月初めにその額面に印紙が貼られていないと、使う事ができないという仕組みになっていました。

 

即ち、月初め毎に、新しい印紙を貼らなければ、利用できないので、時が経過してしまうと価値を失ってしまうという事です。

 

人々は手元に持っていても、月初めには価値が無くなると認識しているので、誰もができるだけ早くこのスタンプ貨幣を使おうとしました。結果、「価値が減る=腐るお金」は消費を促し、経済を活性化させました。

 

参照:※スタンプ貨幣(別名:スタンプ・マネー)

日付貨幣ともいう。交換手段としてのみ機能させ,価値保蔵手段の属性をもたせないようにした特異な貨幣。紙幣の裏面にスタンプを押し,または印紙をはり,あらかじめ日付を明示し,日時の経過につれあるいは取引のつど減価する仕組になっている。ゲゼルの自由貨幣の構想に始まり,1930年代にドイツ,米国等の小都市で実験。

語り継がれる功績とゲゼルマネー

腐るお金は別名、ゲゼルマネーと呼ばれており、その理論を提唱したのは、ドイツ人のシルビオ・ゲゼルという名の経済学者でした。

 

彼が提唱したゲゼルマネーは今、日本の地域創生へ取り組む人々から多くの注目を集め、地域活性化へつなげる事ができないかと議論されているのです。

腐るお金は、多くの失業者を救いました。また、「価値が無くなってしまう前に、払えるものは払いたい!」と、税金が滞納されず、速やかに支払われたことなどもあり、人々の生活そのものに良い循環を産みました。

 

ヴェルグルは世界恐慌後に完全雇用を実現した初めての自治体として、他国からもその実績が注目されました。ヴェルグルの成功を目の当たりにした多くの都市がこの制度を取り入れようとします。

 

しかし、オーストリア中央銀行が「国家の通貨システムを乱す」として禁止通達を出され、労働証明書の制度は廃止に追い込まれました。この経済的功績は、『ヴェルグルの奇跡』と呼ばれ、今も尚、多くの人々の間で語り継がれる実話です。

日本で求められる地域通貨

2000年前後、日本でも地域通貨ブームが起こりました。

 

市民団体やNPOが主体となって商品券媒体の地域通貨があちこちで稼働していましたが、主に集落や小学校区程度の規模で助け合いの促進、ボランティア活動の評価などを主の目的にしたものがほとんどでした。

 

その後、一旦は地域通貨のブームは落ち着いたのですが、デジタル化が進んだ今、新たな形で再注目を集めています。

ブロックチェーンの改ざんされにくい仕組みや、分散型台帳技術よって使用した履歴をみんなで確認する事ができる技術を活用して、利用者への安全性を高める事が可能となました。

 

さらに、スマートフォンやの普及により、キャッシュレス決済、QRコード決済等の決済が誰でも使いやすくなったので、維持・管理に関わる手間とコストが減少しました。これは、地域通貨の発行に対するハードルが、大きく下がり、多くの人が利用しやすい環境が整って来たという事です。

 

既に、地域活性化や社会的交流の促進に向けて、さまざまな団体・自治体が地域通貨は発行されています。地域活性化は今後の日本が抱える重要課題の一つであり、ブロックチェーン技術によって下支えされた地域通貨は、その解決策になり得ることでしょう。

お金の在り方の本質が問われる時代へ

私が日本クリプトコイン協会の初級検定講座を受講した際、最初に学習した内容が「お金」についてでした。暗号通貨を学ぶ以前にとても重要な事は、お金とは一体何なのかについて知る事であると教わりました。

 

お金の在り方、貨幣の発行は国ではなくてもできるという事実、雇用のあり方、様々な問題を一つの作品から学ぶ事ができました。単純に、えんとつ町のプペルのストーリーに感動していたのですが、こんなに面白いストーリーと実話が隠れていたなんて、さすが西野さんです。

 

子供にも、大人にも、強いメッセージを放つ素晴らしい映画作品ですので、本当に沢山の方に観ていただきたい。ディズニーを超えるという西野さんの夢を、私も心の底から応援しています。

 

今回は、西野さんの作品から『お金の在り方』について紐解きましたが、初級検定講座で学んでいたおかげで、腐るお金について興味を持つ事ができたのは間違いありません。

 

日本クリプトコイン協会で、私達と一緒に学んでみませんか。初級検定講座で学べる内容は非常に多くの場面でお金にまつわる物事を捉える際に役立ちます。

 

お金の在り方そのものが変化して行くこの時代を、確かな価値観で迎え受け入れて行くためにも、初級検定講座は役立ちます。あなたと一緒に学べる事を楽しみにお待ちしております。

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投稿者プロフィール

鵜飼愛華公認暗号通貨技能アドバイザー
日本クリプトコイン協会 / 公認暗号通貨技能アドバイザー
老舗農家にて日本料理に使われる伝統野菜の栽培・出荷を行う二児の母。
主婦の立場からわかりやすく暗号通貨の本質を解説。
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