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日本が失った天才
皆さんは『金子 勇』という人物をご存知でしょうか。技術者やプログラマーであれば、その名前を一度は耳にした事があるのではないでしょうか。
今もその死を悔やまれ続ける天才
金子 勇 氏は、日本を代表する天才プログラマーであり、暗号通貨の技術にも採用されている、P2Pネットワークを実現し、世に広く知らしめた人物でもあります。
2013年に42歳という若さで、この世を去ってしまった金子氏は今でも多くの技術者・開発者達から、その死を悔やまれています。
今でこそ、LINEなどにも起用されているP2Pの技術ですが、実は1999年にはアメリカで開発され通信方式として既に存在していました。
金子氏が2002年に開発した『Winny』は、P2Pソフトウェアです。
P2Pは、インターネットを通じサーバを介さずにパソコン同士で直接ファイルをやり取りできる通信方式です。金子氏は、Winnyの開発をたった一ヶ月でやってのけ、2ちゃんねるに、「47」という匿名で、プログラムを投稿しました。
たまたま投稿した番号が「47」だったのですが、この後、金子氏は2ちゃんねるで「47氏」の名称で親しまれるきっかけになりました。
金子勇という偉大なプログラマー
日本で初めて開発された画期的なP2Pを活用したWinnyには、現代システムを構築する基盤技術が詰め込まれており、当時の技術者達の間でも、とてつもないものが誕生したと誰もが感じていました。
しかし、Winnyの匿名性の高さから、Winnyを使って音楽や映画をまるごとコピーするなどの著作権侵害にあたる事件が頻発し、一時はネット上の通信量の半分以上をWinnyが占める状態となりました。
その利便性の高さから、Winnyを悪用するユーザーが増加し、ウイルス感染が増加、Winnyに繋がったパソコン内のデータが流出させる事件も起こりました。
これは、Winnyそのものの問題ではないのですが、次第にWinnyを問題視する風潮が世の中に広がり、政府はWinnyの使用をやめるよう呼びかけました。
その後、2004年に京都府警は、著作権法違反「幇助」の容疑で金子氏を逮捕。P2Pソフトの利用者を違法とする判決は世界に多いのですが、開発者が逮捕されたのはこの事件が初めてでした。
開発者が逮捕されたという事で、この『Winny事件』は世界的な反響を呼び、瞬く間に注目される事件となりました。この事件の実態や本質を正確に捉える事ができた人は、この時代にはまだ少なかったのです。
時は2004年。まだビットコイン が誕生もしていなければ、Youtubeすら存在していない時代の事件でした。真新しい技術に対して、知識や開発経験がある人の方が圧倒的に少なく、理解できる人物が限られていたために、この事件の真意を紐解くのには7年半もの時間を要しました。
Winnyの画期的な技術P2Pを正しく知る
こちらの動画では、P2Pが如何なるものかを分かりやすくアニメーションを交えて説明してくれています。金子氏についても語られており、Winny事件の概要を理解するのに大変役立つ動画内容となっています。
事件が起こったその当時、P2Pという通信方式でのファイル共有技術は、当時の学術研究面でも大変有意義なものでした。
Winny開発者の金子氏の逮捕は、研究者の間でも衝撃でした。情報通信技術の開発者が逮捕されるのです。研究者たちは、Winny開発者の逮捕を、誰も納得していませんでした。
「例え話」として有名なのが、「包丁と殺人」です。殺人事件が発生したときに、凶器である包丁を作成した職人が「幇助罪」として罰せられるのか、という議論でした。
後に続く技術者達のために戦った天才プログラマーと弁護士
P2Pがどの様な技術なのかを理解している人々からすれば、どう考えても金子氏に罪がないことは明白でした。しかし、技術が理解できない人達にとっては、金子氏は犯罪者でした。
多くのメディアが金子氏を著作権侵害の首謀者として悪者扱いし、真実とは異なる報道がテレビで多数流れました。
当時、事件を担当した弁護士の 壇 俊光 氏がWinny事件の真相と金子氏がどんな人だったのか、そして事件の裏側でどんな戦いがあったのかう含め、書籍『Winny 〜天才プログラマー金子勇との7年半』では、金子氏と壇氏のありったけの情熱が記されています。
一審の京都地裁は2006年12月、金子氏に対して罰金150万円(求刑懲役1年)の有罪判決を下していたのですが、これに対して、弁護側は無罪を訴え、検察側は量刑が軽すぎるとして、それぞれ控訴しました。
罰金の150万円を支払っていれば、早く出所して大好きなプログラミング開発をすることもできたはずなのですが、彼等は後に続く技術者、開発者、研究者達が、同じ「進化の妨げによる被害者」になってはならないと『無罪』を勝ち取るまで諦めませんでした。
結果、7年半という月日が流れましたが、金子氏は無罪を勝ち取る事ができました。
その背景で、金子氏の弁護をし続けた壇氏の苦悩は、読み手として大いに共感できるものがあり、現代で起こっている様々な問題も似た様なもので、いつまでも日本が遅れてしまっていることの原因の様なものが、感じ取れてなりませんでした。
人は、「知らないこと=怖い」という様に、無意識のうちに判断してしまいがちです。しかし、詳しく理解していくことで、その難解な物事が、いかに世の中を良くするのか、人々の生活を豊にするのか、紐解く事ができます。
目の前に簡略的に用意される情報だけを鵜呑みにしてしまうのではなく、物事の本質を見抜き、自分自身の価値観で捉える事は重要だと言われています。
私は、暗号通貨に関わる多くの関係者に、この書籍を読んでいただけることを心から願っています。
私達が日々、当然の様に利用しているアプリやSNSが、何故、スマートフォンを通して家族や友人と接する事ができているのか、楽しく過ごす事ができているのかを、技術面から考える人は少ないでしょう。
私達が当たり前だと思っている物事の背景には、必ずと言っていいほど、関係した開発者や技術者がいます。それは、今日に至るまでに、幾度もトライ&エラーを繰り返し、アップデートを重ねたシステムは、本来、私たちにとって尊いものです。
P2Pネットワークは、決してマイナーなものではなく私たちが使う身近なものにも利用されています。LINEやSkype、そしてビットコインにも、、、当然の様に利用されている技術は、色々なところで私達の生活を支えてくれています。
日本クリプトコイン協会では、初級検定講座の中でP2Pについても触れており、基礎知識として学ぶ事ができます。
暗号通貨とは、様々な技術が合わさり実現されているシステムであるため、基礎を学び知ることは大変重要です。また、今後プログラミングやIT用語は日常的に会話に入ってくる可能性が高いであろうと子育て世代の主婦は感じています。
子供との将来の話をしっかりするためにも、日本クリプトコイン協会で学んでみませんか。技術と暗号通貨は隣り合わせの関係性を持っています。初級検定講座を受講するとその親和性を知る事ができる様になっています。
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