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ブロックチェーンは「信頼」をなくすのか――変わるのは信頼の置き場所である

ブロックチェーンは「信頼」をなくすのか

「ブロックチェーンは、信頼できる第三者を不要にする技術だ」と説明されることがあります。しかし、私たちは本当に誰も信じずに取引できるようになったのでしょうか。

2017年の上級講座小論文には、銀行などの信用ある機関を介さず、参加者同士が記録を共有する未来が描かれていました。

2025年の小論文では、その考えが一歩進み、ブロックチェーンを行政や支援制度の「検証層」として使う案が示されています。

8年間で変わったのは、ブロックチェーンを万能な代替制度と見るのではなく、既存制度の証拠を検証しやすくする道具として捉える視点です。

「人を信じない」と「検証できる」は違う

ビットコインが減らした「第三者への依存」

ビットコインの原点は、オンライン決済で二重支払いを防ぐために、金融機関という信頼される第三者へ全面的に依存しなくてもよい仕組みを提案したことにあります。取引履歴を参加者で共有し、暗号学的な証明と合意形成によって記録の順序を確定します。

ここで減らせるのは、特定組織の帳簿だけを正しいとみなす必要性です。取引相手の人柄、商品の品質、法律上の権利、現実世界で起きた事実まで自動的に保証するわけではありません。

ブロックチェーンでも残る五つの信頼

ブロックチェーンを利用しても、利用者は別のものを信頼しています。

  • ソフトウェアが意図どおり実装されていること
  • 秘密鍵が安全に管理されていること
  • ネットワークの合意形成が攻撃されていないこと
  • 外部データを伝える仕組みが正確であること
  • 問題が起きたときに救済する制度が存在すること
つまり、信頼が消えるのではありません。信頼の対象が「一つの組織」から、「公開されたルール、複数の参加者、検証可能な記録、運用制度の組み合わせ」へ移るのです。

信頼には三つの層がある

ブロックチェーンの活用を考えるときは、信頼を三層に分けると整理できます。

第一層:記録の信頼

誰が、いつ、どのデータを登録し、その後変更されていないか。これはブロックチェーンが比較的得意とする領域です。

第二層:入力の信頼

登録された数値や事実が、現実と一致しているか。誤った情報を正しい形式で記録すれば、誤りが消えにくくなるだけです。

第三層:制度の信頼

入力ミス、不正、鍵の紛失、契約上の争いが起きたとき、誰が調査し、訂正し、救済するのか。これは法律、監査、組織運営の領域です。

本質は「信用の排除」ではなく「説明責任の設計」

制度を置き換えず、検証可能性を加える

公共調達や寄付、支援金の分配では、すべてをブロックチェーンに移す必要はありません。個人情報や契約書本体は既存システムで安全に管理し、重要な手続きの要約や時刻、改訂履歴だけを検証可能な形で残す方法があります。

この設計なら、ブロックチェーンは制度を置き換えるのではなく、「説明した内容が後から都合よく変えられていないか」を確かめる土台になります。

問うべきは「誰を、どこまで信じるか」

私たちが問うべきなのは、「人を信じなくてよいか」ではありません。

誰を、何について、どの範囲まで信じ、その判断を後からどう検証できるようにするか。

この問いに答えることが、ブロックチェーンを社会で生かす第一歩です。

まとめ――信頼は消えるのではなく、置き場所が変わる

ブロックチェーンは、信頼を不要にする魔法ではありません。特定の組織に集中していた信頼を、公開されたルール、複数の参加者、検証可能な記録、そして運用制度の組み合わせへ移す仕組みです。

大切なのは、「ブロックチェーンを使っているから信頼できる」と考えることではありません。何が記録され、誰が入力し、問題が起きたときに誰が対応するのかまで設計されているかを確かめることです。

参考資料

編集注:本記事は、2017年および2025年に上級技能検定講座の受講生が提出した小論文の問題意識を出発点に、JCCA編集部が公的・技術資料を確認して再構成したものです。暗号資産の購入を推奨するものではありません。

「人を信じない」と「検証できる」は違う

ビットコインの原点は、オンライン決済で二重支払いを防ぐために、金融機関という信頼される第三者へ全面的に依存しなくてもよい仕組みを提案したことにあります。取引履歴を参加者で共有し、暗号学的な証明と合意形成によって記録の順序を確定します。

 

ここで減らせるのは、特定組織の帳簿だけを正しいとみなす必要です。取引相手の人柄、商品の品質、法律上の権利、現実世界で起きた事実まで自動的に保証するわけではありません。

 

ブロックチェーンを利用しても、利用者は別のものを信頼しています。

 

  • ソフトウェアが意図どおり実装されていること
  • 秘密鍵が安全に管理されていること
  • ネットワークの合意形成が攻撃されていないこと
  • 外部データを伝える仕組みが正確であること
  • 問題が起きたときに救済する制度が存在すること

 

つまり、信頼が消えるのではありません。信頼の対象が「一つの組織」から、「公開されたルール、複数の参加者、検証可能な記録、運用制度の組み合わせ」へ移るのです。

信頼には三つの層がある

ブロックチェーンの活用を考えるときは、信頼を三層に分けると整理できます。

 

第一は、記録の信頼です。誰が、いつ、どのデータを登録し、その後変更されていないか。これはブロックチェーンが比較的得意とする領域です。

 

第二は、入力の信頼です。登録された数値や事実が、現実と一致しているか。誤った情報を正しい形式で記録すれば、誤りが消えにくくなるだけです。

 

第三は、制度の信頼です。入力ミス、不正、鍵の紛失、契約上の争いが起きたとき、誰が調査し、訂正し、救済するのか。これは法律、監査、組織運営の領域です。

本質は「信用の排除」ではなく「説明責任の設計」

公共調達や寄付、支援金の分配では、すべてをブロックチェーンに移す必要はありません。個人情報や契約書本体は既存システムで安全に管理し、重要な手続きの要約や時刻、改訂履歴だけを検証可能な形で残す方法があります。

 

公共調達や寄付、支援金の分配では、すべてをブロックチェーンに移す必要はありません。個人情報や契約書本体は既存システムで安全に管理し、重要な手続きの要約や時刻、改訂履歴だけを検証可能な形で残す方法があります。

 

この設計なら、ブロックチェーンは制度を置き換えるのではなく、「説明した内容が後から都合よく変えられていないか」を確かめる土台になります。

 

私たちが問うべきなのは、「人を信じなくてよいか」ではありません。

 

誰を、何について、どの範囲まで信じ、その判断を後からどう検証できるようにするか。

 

この問いに答えることが、ブロックチェーンを社会で生かす第一歩です。

参考資料

– [Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System](https://bitcoin.org/bitcoin.pdf)
– [Ethereum.org「Introduction to smart contracts」](https://ethereum.org/developers/docs/smart-contracts/)
– [世界銀行「Principles on Identification for Sustainable Development」](https://id4d.worldbank.org/guide/1-principles)

 

編集注:本記事は、2017年および2025年に上級技能検定講座の受講生が提出した小論文の問題意識を出発点に、JCCA編集部が公的・技術資料を確認して再構成したものです。暗号資産の購入を推奨するものではありません。

初級検定講座

暗号通貨技能検定とは

こんな想いの方々が受講されています

  • 暗号通貨やブロックチェーンについて、知識の有無にかかわらず興味関心がある。
  • 同一労働・同一賃金が施行された中、資格を得て他者との収入に違いを出したい。
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  • 暗号通貨に関する情報を、仕組みや構造から自分で読み解く力を身につけたい。
  • 暗号通貨の始め方や取り扱いを覚えたいが、書店に並んでいる本やYoutubeを見ても理解が進まない。
  • 講師としての資格を取得し、より多くの方々へ暗号通貨の思想やブロックチェーン技術の概念を伝えたい。

投稿者プロフィール

山下健一代表理事
暗号通貨の思想とブロックチェーンの概念は、金融システムをより安全に低コストで運用できるだけでなく、銀行口座を持たない20億人の生活環境を底上げします。また、寄附や募金へ広く活用されることは、SDGsの達成にも貢献する事でしょう。一人でも多くの方と共に、正しい暗号通貨システムの可能性を学び、実生活や仕事にも取り入れて頂けるよう、当協会はこれからも「暗号通貨技能検定講座」の開催を重ねて参ります。

【資格・受賞歴】
・日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー
・東久邇宮記念賞受賞
・東久邇宮文化褒賞受賞
・特許:特開2016-081134号
・特願:2018-028585
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