多くの人は、ブロックチェーンについての知識を、暗号通貨に関連する記事だけで理解しようとしています。しかし、ブロックチェーンの可能性は、デジタル通貨の追跡や交換に限られたものではなく、多くの分野に精通し、様々な業界に応用できる可能性を秘めています。
ブロックチェーンを表す最適な言葉として挙げられる表現、それは「データベースである」という点です。
異なるノード（ブロックチェーンで繋がったパソコン）は、トランザクション（ＡからＢへのデータ送信履歴）が追加されると、ブロックチェーンは新しいブロック内に、前のブロックの暗号ハッシュ（10分前に生成されたブロック内に入れられた全取引データを圧縮したデータ）と今現在の取引データを保管（記録）します。このプロセスにより、ブロックチェーン内の既存データは改ざんされることなく、安心安全に保管され続けます。
これは、企業と私たち消費者の両方が生成するデータの量が指数関数的に増加し続ける中、データを安全に保存・交換する方法を見つけることが不可欠であり、それがブロックチェーンであるという事を表しています。
以下では、フォーブス・テクノロジー・カウンシルに所属する16人の業界専門家が、ブロックチェーンによってデータの収集と共有の効率性、そして安全性が飛躍的に向上する可能性がある分野を紹介します。
目次
出典：Forbs
供給網管理
ブロックチェーンの主な用途は、サプライチェーンオペレーションにあると考えています。ブロックチェーンは、監査証跡を残すことで商品のトレーサビリティーを向上させ、セキュリティ、透明性、規制遵守を改善しています。また、サプライチェーンのどこに問題が生じているかを迅速に把握し解決を図ることで、多くの企業は効率化を図ることができます。
シンディー・ジョードン氏、IFS
オンライン投票
ブロックチェーンは、安全なオンライン投票を可能にすることで、民主主義を強化する可能性を秘めています。全国的に統一し分散化され、追跡可能な方法で投票することにより、何百万人もの有権者の権利を安心安全に確保することができます。検証可能な透明性を提供し、手作業による再集計や監査を不要にするソリューションはブロックチェーン以外には考えられないでしょう。
ニコラス・デュポン氏、サイボーグ（Cyborg）
デジタル身分証
ブロックチェーンの最大のメリットは、セキュリティです。この技術は、暗号通貨以外においては、デジタルIDにも応用できます。例えば、あなたのパスポート、運転免許証、健康保険証、社会保障番号など、それらすべてがブロックチェーンに保存され、あなただけが簡単にアクセスできるようになったと想像してみてください。そうなれば、旅行や住宅ローンの申請、新しい仕事のための身元調査など、さまざまな場面での手続きが安心安全に簡略化されるかもしれません。
ナドヤ・クナイシュ氏、a1qa
ワクチン・パスポート
ブロックチェーンは、ネットワーク上で信頼を構築・確立することが独自の価値であるにもかかわらず、通貨としての名声を主張しているのは興味深いことです。これにより、新しい形のアイデンティティ・ソリューション、プライバシー・バイ・デフォルト・アーキテクチャー、柔軟なデータ・ストレージ・オプションへの道が開かれる可能性があります。私たちのプライバシーやデジタルワクチンパスポートに関する最近の話題は、ブロックチェーン技術と完全にマッチしています。
エド・アダムズ氏、セキュリティー・イノヴェーション
分散型のマーケットプレイス
ブロックチェーンは、広告や調査のための個人情報の交換と収益化を促進する、「分散型データマーケットプレイス」を進める上では重要な構成要素です。スマートコントラクトにより、売り手は効率的なライセンスモデルを通じてデータを安全に共有し、価値を高めることができます。また、買い手は拡大したエコシステムを活用し、ビジネスの洞察力や提供物を向上させることができます。
クリストファー・ヤン氏、コーポレート・トラベル・マネジメント
ロイヤルティー制度
ブロックチェーンは、決済、金融、サプライチェーンのシステムを変革します。変革の機が熟しているもう一つの分野は、ロイヤリティの分野です。ロイヤリティ報酬としての暗号通貨は、コスト、詐欺、摩擦を取り除くことで、ロイヤリティプログラムが抱える問題を解決します。スマートコントラクトを介して獲得した分散型の報酬は、スマホなどのウォレットでアクセスできるため、顧客は無駄に手数料を支払うことなく、インセンティブを得ることができます。
ジョナサン・ホイルズ氏、パーク・ラブズ
医療情報管理
ブロックチェーンは、医療業界に革命を起こす可能性のある非常に期待された技術です。医療におけるブロックチェーンの可能性は、患者のプライベートな機密医療データを保存できる可能性だけに留まることはありません。これは、ブロックチェーンAPIを利用することで、医療機関は患者のデータを簡単かつ安全に交換・共有することができる事にも繋がります。
パメラ・スペンス氏、EY
医薬品の在庫管理
Covid-19のようなウィルスが流行っている時期においては、製薬業界のサプライチェーンに多大なストレスがかかります。しかし、製薬会社はブロックチェーンを導入することで、安全なデータ共有、コラボレーション、トレーサビリティのための安心安全な台帳を作成し、インフラを強化することができます。これにより、サプライチェーンに伴う情報共有が進み、患者の予後と企業のバランスシートの両方にプラスの効果をもたらすでしょう。
シンディー・ジョードン氏、IFS
出所の確認
多くの人にとって、ブロックチェーンは問題解決のためのソリューションです。その背景にある考え方は健全で、認証や情報を暗号額を使用し、安心安全にデータベースを構築し続けます。ブロックチェーンの理想的な応用例は、インターネットの汚染問題（信頼できる情報源が誤った情報で汚染されること）です。ブロックチェーンを情報源に適用し、フェイクニュースなどに惑わされることのない社会構築が可能となるのです。
フィリップ・クウェード氏、フォーティネット
反復可能の業務処理過程
ブロックチェーンの利用は、様々な分野において拡大しています。ブロックチェーンを暗号通貨以上にスケールアップするためには、様々な取引システムやERPシステムを持つ企業に統合し、高速で信頼性の高い再現可能なプロセスを構築できることが不可欠です。オープンソース化され、クラウドソース化された技術は、他に類を見ないレベルのユースケースへの道を開くでしょう。
アズマス・パシャ氏、パラダイム・テクノロジー
学位や学歴の管理
ブロックチェーンの最も興味深い用途の一つは、教育と資格情報の分野です。教育はますます柔軟になり、eラーニングにおいて、その学習内容をより詳細な単位に分け、個別に認証できるようになります。これらの資格は検証可能である必要がありますが、ブロックチェーンはそれを可能にする素晴らしい方法です。
マーク・キャメロン氏
情報共有
ブロックチェーンは、物理的な通信の必要性を大幅に減らすことができます。郵便やファックスで情報を送るという選択肢がまだ必要なのは、ありふれた電子的な方法では、データの漏洩が起こりやすいからです。ブロックチェーンの分散化された管理体制は、セキュリティを高めます。ブロックチェーンは、1つのブロックに変更が加えられると、それ以降に繋がっているブロックにも変更が必要となるため、ハッキングが困難になります。
レナ・クリスティーナ・タバタ氏、シェアスマート
身元情報の窃盗防止
私は、ブロックチェーンがID管理の技術をさらに進化させると考えています。この技術を使えば、ユーザー（顧客と従業員の両方）を簡単に確認・識別することができ、個人情報の盗難や詐欺、サイバーセキュリティの脅威のリスクを減らすことができます。
カルヴァン・ローズ氏、IPプラス・コンサルティング
IoTのセキュリティー
企業は今後、ブロックチェーン技術を使用しIoTデバイスのセキュリティを確保するようになると思います。IoTデバイスはハッキングされやすいことで知られており、一部の消費者はこの脅威を心配しています。ブロックチェーン技術によって、企業はIoTデータを簡単に暗号化し、消費者の情報をハッカーから守ることができるようになります。
トーマス・グリフィン氏、オプトインモンスター
公益サービスの管理
私は、クリーンエネルギー分野におけるブロックチェーンのアプリケーションに魅了されています。P2P（Peer to Peer）のエネルギー取引を可能にし、公益事業のデータ管理を最適化。私たち消費者やプロシューマーに力を与えることで、暗号通貨を超えた途方もないユースケースが創造され、今後10年から20年の間にそれらが実現することでしょう。特に公益事業者は、持続可能な観点からSDGsの目標を実現するため、より多くの企業や人々が、ブロックチェーンに注目するでしょう。
ディーパク・ガーグ氏、スマート・エネルギー・ウォーター
国際取り引き
信頼の欠如を克服するために、どれだけ多くの要素が組み込まれているか、国際貿易に携わる人に聞いてみましょう。輸出オーダー、船荷証券、出荷インボイスなどがありますが、これらはすべて、貿易国が相互に開設している信用枠を遵守しなければなりません。もしこれらすべてがブロックチェーンに置き換えられたとしたらどうでしょうか。出荷証明や配達証明があれば、追加のプロセスなしに支払いを確認することができます。
アマンディープ・ミドハ氏
以上、16名の業界専門家のインタビューでした。
この様に、ブロックチェーンは多くの分野で活用できます。また、異なるブロックチェーンを相互に繋ぎ運用する事も可能です。
すべての分野における各企業がブロックチェーンで繋がることにより、一つの改ざんを瞬時に見極め防ぐことが出来ます。
暗号通貨システムの思想とブロックチェーン技術の概念が浸透した世界においては、「改ざん」という言葉そのものが存在しない環境が構築されているのかもしれません。
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投稿者プロフィール
- 代表理事
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暗号通貨の思想とブロックチェーンの概念は、金融システムをより安全に低コストで運用できるだけでなく、銀行口座を持たない20億人の生活環境を底上げします。また、寄附や募金へ広く活用されることは、SDGｓの達成にも貢献する事でしょう。一人でも多くの方と共に、正しい暗号通貨システムの可能性を学び、実生活や仕事にも取り入れて頂けるよう、当協会はこれからも「暗号通貨技能検定講座」の開催を重ねて参ります。
【資格・受賞歴】
・日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー
・東久邇宮記念賞受賞
・東久邇宮文化褒賞受賞
・特許：特開2016-081134号
・特願：2018-028585
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